大阪タオル工業組合では今年9月より、りんくうプレミアムアウトレットモールの一角にアンテナショップを出店しました。1年間の期間限定出店ですが、売上は好調で、常設店舗化を目指した交渉も行なっておられます。当初から掲げてきた「卸商との連携」についても、「泉州こだわりタオル」のブランドネームが入った商品を取り扱いたいという声が増えてきたりと、メーカー側が主導する形で進んでいく状況が生まれてきています。
アウトレットモールへの出店
大阪タオル工業組合 中澤茂理事長
昨年11月に、りんくうタウン・プレミアムアウトレットモールの今の場所を2日間だけ貸していただき、泉州タオルのショップを出店しました。今年3月には、GODIVAの横のテナントスペースに1ヶ月だけに出させてもらいました。これが予想以上に売れたことから、常設店舗として出店したいとモール側に依頼し、今年9月から1年間貸していただけるようになりました。おかげさまで好評で、初期投資は年末までに回収できる見込みです。
ショップそのものは、平成12年にりんくうパパラ、泉佐野駅前、泉佐野の組合ショールーム1階と、3店舗を出していました。当初は、卸商の一部から「直接売ってるやないか」と抵抗感も示されましたが、今はアンテナショップとしての存在意義を理解していただいています。平成19年から24年までの5年間は「りんくうシークル」の中にショップを出していましたが、今のショップに移ってから、売上は4倍になっています。これはアウトレットモールの集客力と、お客さんの購買意欲です。お客さんはついで買いではなく、ものを買うために遠方からも来られているようで、ショップでは高額商品が売れています。
ショップでは、売上よりも泉州タオルのPRと情報収集に力点を置いています。そのためアルバイトスタッフには、商品知識をしっかり勉強してもらっています。組合の認定委員会の会合は、店長からどういう商品が売れているかを発表してもらい、また実際にショップに来てもらうようにしています。
卸商との連携
最近は、組合員企業が作った「泉州こだわりタオル」の出口が増えてきています。
日航ホテル関西空港には、400室近くある客室用に泉州こだわりタオルブランドのフェイスタオル、バスタオルを採用いただきました。新たに赴任されたホテルのマネージャーが泉州タオルの存在を知り、地産地消というコンセプトから、コラボレーションのお声かけをいただいたものです。今年3月から打ち合わせを始め、9月に納品させていただいています。またホテルの売店での販売のお話もいただいています。
またツバメタオルの商品は、今年の高島屋のお歳暮カタログに掲載されました。また同じ商品を店頭にも置いていただけることになっています。
「泉州こだわりタオル」の知名度が向上してきたこと、一般消費者からの情報が直接手に入るようになったことで、卸商との関係性も変化してきています。従来は卸商側からの企画にあわせたものづくりを依頼されていたのですが、最近では「泉州こだわりタオル」が欲しいという要望を受けるようになってきています。ある問屋からは、泉州タオル・今治タオル・おぼろタオルの3点を詰め合わせた「日本の名産地」というギフトを百貨店向けに作りたいとお声かけいただきました。また、メーカーと問屋が一緒にタオルを開発し、「こだわりタオル」の認証を受けようという取り組みも生まれてきています。
組合員の意識改革
泉州のタオルは、6~7割は後晒しの白タオルとして作られています。値段のことを言わなければ、これは絶対に売れます。そのため、朝から晩まで白タオルを作り続けている企業も多く、「こだわりタオル」の開発に取り組んでいるのは、組合内で30社ほどです。
昨年組合の若手から「こだわりタオルを出しても売れない」と言われました。彼らにとっては、組合事業のお手伝いという意識だったのです。そこで「自分の会社の名前を前に出して、自分のための仕事をしろ」と言いました。彼らはその後、カタログ、POPを作って東京の展示会に出展し、会場での人気投票で十傑に入りました。「こだわりタオルやったら売れる」という声が問屋からもかかるようになり、組合員の意識は徐々に変わってきています。
尾原デザイン事務所 尾原さん
この11月末にグランフロント大阪で展示会を行いますが、今回から展示会の意味合いを変えています。今までは一つの共通テーマを設定し、そこに各企業が色、柄、風合い、製法などを工夫して出展していましたが、今回はテーマを「ニッポンのタオル」と打ち出し、各社ごとに独自色を出してもらうようにしました。以前は20社から出てくるのは2、3通りの製品でしたが、今では各社の技術力が向上し、20通りのバリエーションが出てくるようになったことがその背景にがあります。
さらなる知名度向上にむけて
中澤さん
「泉州こだわりタオル」というブランドはようやく固まってきました。そして次に、泉州タオル全体をアピールする段階に入ったと思っています。今治タオルは佐藤可士和氏をアートデュレクターに頼み、「世界のタオル」を謳って知名度の拡大を図っていますが、我々は「ニッポンのタオル」を、泉州タオル全体の打ち出しに使っていこうとしています。「ニッポンのタオル」は現在商標登録申請中で、りんくうのショップのテントにも、袋にも入れてもらいました。そしてその中のプレミアムを「泉州こだわりタオル」と位置づけていきます。
2013.11.14
大阪タオル工業組合の「ツボ」
・アンテナショップを経営し、また消費者向け展示会を長年続けてきたことで、川上であるメーカー側が卸商よりもマーケットニーズを把握しています。
・やる気ある企業を押し上げつつ、組合全体の意識改革、技術向上を図っています。
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