30年以上使用し、老朽化してきた高層建築用「スカイトイレ」のリニューアルをきっかけに、会社に革新を、従業員に喜びとパワーを与えたいと策を練り、ビジョンに基づく経営戦略、経営戦略ありきの商品開発をと語るプロデューサーの大内田直氏。能動的デザイン思考で新たなスカイトイレの開発に取組んでいます。
(コーディネーター)
デザイナーが取り組む仕事としては珍しいとお話されていた仮設トイレですが、大内田様としてはどのような方向性で取り組みたいと考えておられますか。
(株式会社ソリデック 大内田 直)
どうしても仮設トイレが持つ「汚い・臭い・不快」と良くないイメージ故に自らの仕事に自信を持てない場合が見受けられます。だからこそクリエイト・ツルモト様のパンフレットにある「建築現場の環境整備に快適と清潔を届ける」というキャッチフレーズが生きてくるのではないかと僕は考えます。これこそクリエイト・ツルモト様にとっての素晴らしいコンセプトで、これを社員の方々の意識の隅々にまでデザインの力で浸透させることで、全員で事業を拡大していけるのではないでしょうか。
(コーディネーター)
具体的にはどんなトイレの開発をお考えですか。
(大内田)
やはり快適で清潔であることが一番です。水洗、配管、シンクといったモジュール設計でデザイン性に優れていることも条件のひとつです。様々な部品を組み合わせることでバリエーション展開でき、職場環境を改善し、メンテナンス性を向上したスカイトイレを開発したいと考えています。
(コーディネーター)
クリエイト・ツルモト(現:株式会社ケイトップ)様の採択事業期間は1年となっていますが、今年度中の目標はどの辺りをめどに考えておられますか。
(クリエイト・ツルモト(現:株式会社ケイトップ)鶴元久也)
情報収集、現場調査、課題の抽出、具体的な商品コンセプト、構想デザインを経てひとまず試作品をあげるところまでを採択事業で助成していただく計画です。
(コーディネーター)
一年という短い期間の中では大内田様が考えられている経営戦略からの体系的な商品構成を具体的につくりあげるのは難しいのではないですか。
(大内田)
スカイトイレのリニューアルはクリエイト・ツルモト(現:株式会社ケイトップ)様にとって、新たな経営戦略を踏まえたうえでの第一歩にすぎません。しかしこのきっかけがとても大切で、まずはモノからの導入となりますが、仮設トイレをレンタルしている建築現場からすると、やはり常に綺麗に使いたい、そのためならば少し追加料金を払ってでもメンテナンスは頼みたいと思うでしょう。 また貯蓄式タンクの場合、あふれる前にタンクを回収しないといけない。しかしそれを確認するためにはこまめに現場に足を運ばなければいけません。この作業の効率化を含めたサービスの向上も将来的には経営戦略的には非常に大切かと思います。
(クリエイト・ツルモト(現:株式会社ケイトップ)鶴元)
現在、レンタルトイレ業界は仲介業者が介入する事で、お客様にとって満足いくサービスが提供されていません。その点、弊社はお客様から直接受注できる環境にあるので、現場の生の声をダイレクトにサービスに変えてご提供することができます。今後、長期的なメンテナンスまで組み入れた一環サービスのシステムを確立できれば、新たな販路を開拓できるかと思います。今回の助成金はあくまでスカイトイレのリニューアルですが、将来の展開も見据えたデザインにしたいと考えています。
(取材日:2011.9.14)
クリエイト・ツルモトの「ツボ」
・同社は、レンタル事業をしていることで、お客さんのニーズを日々直接聞くことができます。
・情報収集、現場調査をまず行い、そこから課題を抽出するという正攻法です。
・30年前に開発され、いまだに稼動している「スカイトイレ」を開発した先代の卓見にも注目。
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