シーズを保有している企業は、真似されてしまうというリスクがあるため、展示会で先端技術を公開することには慎重です。またニーズや課題を抱えている企業は、具体的な製品よりもむしろ、ソリューションを提供してくれる企業との出会いを求めています。そのため展示会の出展にあたっては、シーズ側もニーズ側も、自社にとって必要な相手とどう出会うのか、という課題があります。
株式会社アクアテックは、6月20日(水)〜22日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催された「日本ものづくりワールド2012」に出展しました。同展示会では、同社が出展した「機械要素技術展」ゾーンのほか、医療機器ゾーン、設計・製造ゾーン、3Dゾーンの展示会が同会場で開催されていました。
今回のレポートは、同社代表取締役の玉川長雄さん、専務取締役の高橋尚さんに展示会当日にてお話を伺ったものです。
今回の出展にあたっては、過去に名刺交換をした企業、紹介を受けた企業150社ほどに案内状を送りました。また今回は「医療ゾーンの近くの角地を」とロケーションについての要望を出しました。
複数の展示会が開催されているため、異業種の方との出会いを期待してのことで、実際希望通りの場所に出展することができました。
展示にあたって、プロデューサーの飯田吉秋氏が示したのは「流れを創造する会社」というコンセプトです。
さまざまな分野で応用できる技術を持った企業だと知っていただくことを強く意識し、緑色をキーカラーとして、デザインとして統一したブースづくりを目指しました。そして最先端の技術を駆使した超小型チューブポンプを前面に出して展示しています。
真似されるというリスクはありますが、うちの社長には「新しいアイデアはまた生み出すことができる」という自負があるので、積極的に技術を公開しています。
情報を集め、視野を広げる
想定どおり、ブースには医療機器関連、細胞培養関連の企業の方々に多数お越しいただきました。中には国内の有力な機器メーカーの方や、海外で圧倒的なシェアを誇るメーカーの現地法人の方もおられ、こちらが意図していなかったさまざまな情報を得ることができました。
我々はこうしたメーカーに技術を提供し、製品開発に寄与していく立場ですが、今回の展示会出展を通じて、自分たちの一つ上の業界地図を垣間見ることができました。
いろんな分野の方と会うことで、ニーズがわかる
今回の出展では、多くの成約を得るよりも、いろんな分野の方とお話しすること、それぞれの分野のニーズを知ることを重視しています。そこから自社がどんなテーマに取り組み、発展していけるかを探ることができると思っています。
たとえば細胞培養の分野で、さまざまな大学の研究室とのやり取りをしていますが、感じるのは情報の非公開性です。それぞれの大学で同じような研究をやっていますが、スポンサーとの兼ね合いなどから研究内容を外に出せないようです。これがオープンになれば、研究内容の住み分けも起こってくるでしょう。またそれぞれの研究に共通するデバイスを提供できれば、新たなビジネスを創出することが可能かも知れません。
営業上の工夫
展示会出展に先立って、4月に関東に営業所を開設し、ポンプ総合メーカーのOBに所長に就任いただきました。展示会終了後には、彼を中心に訪問活動を行い、新たな関係性を構築していこうと考えています。
また、総合ポンプメーカーにうちの商品を扱ってもらう、という動きもしています。アクアテックという会社はチューブポンプという分野に特化し、オンリーワンのポンプの開発に専念しているので、ポンプについての広い知識を持ち、その中でうちの商品の強みをアピールしつつ商談を進めていただける提携先は貴重な存在です。
・真似されるリスクを承知の上で、積極的に技術を公開するという考え方を取っています。
・展示会出展には、業界地図や、さまざまな分野のニーズを知るというメリットもあるようです。
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