大阪タオル工業組合


ブランド価値を高めるための求評会

求評会


8月30日(木)、泉佐野市の地場産業支援センターにおいて、大阪タオル工業組合の泉州こだわりタオル実行委員会が開催されました。その中で、9月上旬開催の「東京インターナショナルギフトショー」に出展する企業5社の商品求評が行われました。

求評会の様子 〜和やかな中にも厳しさが〜

求評会では、ギフトショーに向けて開発した商品のプレゼンテーションが行われました。各出展企業は、タオル本来の特長である吸水性と共に速乾性を訴えたもの、綿糸からオリジナルで開発したもの、加工に特色を持たせたもの、ファッション・介護・美容など、従来のタオルとは別の文脈で開発したものなど幅広い商品を紹介し、こだわりのポイント、商品展開の手法をアピールしていました。そして参加者はプレゼンテーションを受け、「泉州こだわりタオル」のブランドにふさわしい商品かどうかについて評価を行いました。



打ち解けた雰囲気の中で求評会は進行していきましたが、「プリントを入れた商品は『こだわりタオル』としてどうか?」という理由から認証を得られない商品もあり、ブランド価値を高めていくことに対して真摯に取り組んでいる様子がうかがえました。

組合とAKB

唐突に聞こえるかも知れませんが、大阪タオル工業組合の取り組みにはAKB48に似たところがあります。同組合の組合員数は現在102社。「泉州こだわりタオル」は、個々の企業が独自に商品開発に取り組みつつ、互いに切磋琢磨することでそのブランド価値を高めていこうとしており、そのために求評会という、AKBにおける“総選挙”に当たる場を設けています。



一企業が商品開発を行う際には、一人のディレクターが全体に目を行き届かせ、商品のトーンや世界観を整えることでブランド価値を高めるという手法を取ることが多いのですが、組合としての取り組みでは、各プレーヤーが競い合う中でブランドが輝きを増す、という状況を作り出す必要があります。ここには「スタープレーヤーが脚光を浴びることができる」、別の言い方をすれば「護送船団ではない、頑張った人が報われる」シクミが必要になります。それを体現しているのが“求評会”ですが、組合ではまた「泉州こだわりタオル」と自社名のダブルネームで商品を訴求するなど、対外的なアピールにも力を入れるようになってきています。

プロデューサー・コーディネーターの役割

事業プロデューサーの尾原久永氏は、講評の中で「多くの企業は“軽量性”“吸水性”“速乾性”といった使用価値の軸で開発を行っていますが、どんなに使用価値があっても、感性価値を満たすデザインになっていなければ、お客さんの目に留まらず、市場に出て行けない」と、アートディレクションの重要性を説いていました。



またコーディネーターの田中智之氏は、温泉旅館のご主人や、カード会社・ホテル予約サイトの担当者の意見などを紹介し、そこからB to Bとしてのタオルのニーズについて紹介し、提案先の可能性について示唆していました。



ローカルに拠点を置く産地企業では、市場が遠いためにどうしても得られる情報が限られ、そのためニーズを推測する形で商品開発を行うようになります。同事業では、プロデューサー・コーディネーターが市場や販売先の情報やニーズを現場に伝え、商品開発の方向性を指し示しているように思えました。





ただ、惜しいと感じたのは、この会に出席していた方全員が男性だったこと。感性価値の評価者である女性のモニターやバイヤーを招いて意見を聞くなど、求評会というシクミの可能性をより広げる取り組みも、今後期待したいところです。




大阪タオル工業組合 求評会の「ツボ」

山納さん・組合としてブランディングに取り組むには、各プレーヤーが競い合う中でブランドが輝きを増す、という状況を作り出す必要があります。

・ローカルに拠点を置く産地企業が商品開発を行うには、市場や販売先の情報やニーズをつかむ手段が必要です。

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