子どもたちの安全性を第一にと、何度となく設計を変更をし、完成を迎えたPETボトルつぶし機 [PET & ECO(ペタンコ)]。
PET & ECO(ペタンコ)を使用し、廃棄PETボトルの回収から再生までを行う循環型の仕組みが評価されて2013年度のグッドデザイン賞を
受賞しました。
「ペタンコ」がGマークを受賞
株式会社久宝金属製作所 川添光代さん
おかげさまで、今年10月に[PET & ECO(ペタンコ)]がグッドデザイン賞を受賞しました。賞の評価ポイントは「安全・丈夫で、操作や仕組みが分かるようになっており、かつデザインに特徴がある」というものでした。知り合いの記者さんに取材いただき、毎日新聞電子版に紹介され、そこからFM cocoloで紹介され、何人かの知り合いから「聴きましたよ」とお電話をいただきました。
今までのところ、新聞を見たという方からの引き合いはありません。ただFacebook経由で「買いたい」「東京で広めたい」「子どもの保育園に寄付したい」といった声をいただいています。思っていた以上に、大人の反響が大きかったです。
ちょうど明日から南港ATCで開催される「Kids design the World」に、特別展示の枠をいただきました。また学習環境デザインやメディア教育に取り組んでおられる同志社女子大学・現代こども学科の上田正行教授に「プレイフル・ラーニング」というご自身のテーマにぴったりの商品として、ワークショップの中で紹介いただきました。
ここからの展開
株式会社久宝金属 古川多夢さん
出口としてはまず、堺市・高石市の幼稚園・保育園・小学校に試験的に設置いただくよう調整をしています。試作機は現在は1台ですが、年度内には10台程度に増やし、展示や貸し出しに対応していこうと考えています。
ただ、「ペタンコ」は商品を置いていただくと同時に、ペットボトル収集のシクミづくりを行う必要があります。潰したペットボトルの回収については、根来産業さんという堺の回収業者と一緒に動いていく予定ですが、収集のシクミを作るには、いろんな方々に関わっていただく必要がありそうです。
広報ツールとしては、幼稚園に試作機を持ち込んでペットボトルを潰していただいた時の映像をyoutubeで公開しています。またパンフレットなども作っていきたいと考えています。
株式会社ハーズ実験デザイン研究所 ムラタ・チアキさん
「ペタンコ」は子どもが使うことを前提にしているので、従来のペットボトル潰し機より安全性にこだわってきました。そのため個人で買うには高価で、また場所もとるため、使っていただく場所は幼稚園、保育園、小学校など、子どものいる公共空間になるでしょう。つまり行政の方々に働きかけ、興味を持っていただき、一緒に進めていく必要があります。一連の水車が回り始める時が、キックスタートです。
古川さん
今後は、行政との関わりを強め、発表会をスタートして、実証実験を行い、その上で本格的に売り出していこうと考えています。
川添さん
今回のプロジェクトは、もともとの計画通りには進まず、かなり苦労しました。村田先生がつねに、「このプロジェクトはモノありき」と言っていただいていたので、ブレずに進んでいくことができました。安全性やペットの潰れ方については、あきらめることなく、こだわって作り込んできました。
新体制で取り組むものづくり
古川さん
11月1日より、代表取締役に就任しました。これまでは社内にいて、テーマを誰かから与えられてものづくりをしてきたのですが、これからは自分が外に出て、開発のテーマを見つけてくることに意識を向けていきたいと思っています。日本はこれから、環境的にも社会的にもタイトになっていくと思いますが、流行りを負うのではなく、必要なものをつくり、それを必要とする人に届けていきたいと考えています。
川添さん
私はTED(Total Entertainment Designer)という役職に就くことにしました。うちは町工場なので、普段の仕事では情報発信の必要性に迫られないのですが、小さな会社が生きていくには、共感できる人と出会い、それを大切にしていくこと、人の暮らしを見つめて、こんなものがあったら喜んでもらえるのではとアンテナを立てておくことが大事だと思っています。安く大量に作るなら、グローバル企業に任せるしかないですから。 新製品を自分たちが納得いくレベルまで作り込んでいくと、2~3年はかかります。今後しばらくは「ペタンコ」を知ってもらう活動に注力し、新製品を意識しながら営業していきたいと思っています。
久宝金属製作所の「ツボ」
・Gマークを受賞したことで、賛同者・共感者の輪が広がっています。
・地域・行政・企業と連携したペットボトル収集・回収のシクミづくりが、今後の課題です。
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