「看板という広告的要素を家具に落とし込めれば、一つ新しいことができるのでは」という看板屋の視点からはじまったアート家具プロジェクト。店舗設計、グラフィックデザイン、WEB、印刷、施工、家具製作の6つの事業部の能力を活かしtoBの仕事を受注。さらにtoC向けの家具の企画を進め商品化をめざしています。
“Please Give Me Work” キャンペーン
マーケットクリエイティブ株式会社
江原啓之さん
看板にかかわる仕事には、設計、デザイン、印刷、加工、取り付けがありますが、その全てを一社でまかなえる会社は多くありません。施工よりの会社の場合は、看板自体は既製品をメーカーにオーダーし、印刷、デザインを外注しています。デザインよりの会社の場合は、ものづくりや施工は外注、広告代理店に近い動き方をしています。
弊社には、店舗設計、グラフィックデザイン、WEB、印刷、施工、家具製作の6つの事業部があり、それぞれに専門スタッフがいます。看板に関わる仕事をさまざまな形で受けられるように、こういう体制にしています。実際、看板の依頼から入ってデザインを受注したり、建物まで建てさせてもらったりすることもあります。
仕事のパターンとしては、クライアントからの直受注、広告代理店を通しての受注、広告代理店から仕事を受けた製作会社からの受注と、大きくみて3つのパターンがあります。一部上場企業には広告代理店部門が中にあって、そこがプロモーション、マーケティング部分を担い、デザインや看板製作や印刷の部分は分離発注しているところが多いのですが、そういうラインで仕事を受けるようになると、一つ一つの案件が小さく、ものすごく忙しいけれど売上は上がらない、という状態に陥ってしまいます。そこで考え方を変えて、“Please Give Me Work”というキャッチフレーズで、「うちはこれだけのメンバーでものづくりができるプロモーション会社ですよ」と打ち出すようになりました。ものづくりの最初から、ブレストの段階から、一緒にやっていきましょうと提案営業を行い、大手企業の方からも商品企画のお話をいただくようになりました。
マーケティングミックスから生まれたアート家具
もう一つの流れが、自社商品の開発です。弊社がすでに持っている6つの部門の総合力を活かして、看板や家具のマーケットで新たな顧客を獲得することを目的に、アート家具の開発に取り組むことにしました。
看板というものは「屋外広告物」なので、必然的にプロモーションと結びついていますが、家具というものは内装の「造作物」であり、「広告物」ではありません。アート家具という発想の発端は、「看板という広告的要素を家具に落とし込めれば、一つ新しいことができるのでは」という看板屋の視点からの発想でした。そこから広げて、アート、擬似、パロディなどの+αの要素を加えた家具を「アート家具」と定義するようになりました。
昨年度は外部の方3名に入っていただき、「to B」の戦略、すなわち看板的発想でプロトタイプを8タイプ作りました。今年度は方向性を「to C」に向け、屋内で使用できる商材を意識して、社内メンバーで商品開発に取り組んでいます。これまでに「トランク型ドレッサー」「キッチン用調味料入れ」「身長計付き洋服掛け」の3つを試作しましたが、今年度中に試作数をさらに増やしていく予定です。そして開発した商品が10個を超え、商品群として見せられるようになった段階で、WEBでの展開を本格化させたいと考えています。
弊社にとっては、「to B」の部分があくまでも基本です。ただ、「to C」の取り組みをしていることで、結構な受注効果があります。飲食店を持っていて、「ここまでのことならできますよ」とお客さんに具体的に説明できることで、店舗設計の仕事をいただくことがありますが、アート家具でも、「それなら、こんなことができますか?」とお客さまが想像力を膨らませることで、新たな受注につながることもあります。
マーケットクリエイティブ新規事業の「ツボ」
・「ものづくりができるプロモーション会社」、すなわち、「to B」の領域をドメインであるとはっきり見定めています。
・自社商品開発とは別に、企画の上流部門に対する提案営業に力を入れているところに注目!
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