創業15年、株式会社アクアテックは小型チューブポンプの専門メーカーとして、開発製造一筋に歩んできたベンチャー企業です。いま薬液投入や洗剤混入に加え、医療やバイオ、においの管理、味の均質化など様々な分野でチューブポンプの実用化が期待されています。
アクアテックはチューブポンプメーカーの特許権利取得では第一位の実績を持つ企業、そのスキルの高い商品開発力による新たな小型チューブポンプで次代を創造する市場開拓へ乗り出しています。
(コーディネーター)
アクアテック様は玉川社長が70歳のときに創業されたとお聞きしましたが、創業されたいきさつを教えていただけますでしょうか。
(株式会社アクアテック 玉川長雄)
私は松下電器産業(現パナソニック)を退職後、ある会社の顧問として10年ほど勤務しておりました。その頃、顧問をしている会社に胃カメラを洗浄する道具をつくってくれないかという依頼があり、私が担当することになりました。洗浄器ですからチューブポンプがないと駄目だということで、探してみるものの丁度良いものが見つからず、ならばとポンプを自作し胃カメラ洗浄器を完成させました。
これを知った愛知県の洗車機メーカーがこのポンプは使えると、洗車用のチューブポンプの開発を依頼してこられました。それならとこれをきっかけに創業した次第です。それから15年、現在23名ほど社員がおりますが、そのうちの17、8名は松下電器産業の定年退職者です。
(コーディネーター)
さらっとお話されましたが、これまでチューブポンプをつくった経験がなくて そんなに簡単にできてしまうのですか。
(アクアテック 玉川)
簡単ですよ、やる気があるか、ないかでしょうね。 弊社は沢山つくって沢山売り、規模を大きくする会社ではありません。開発主体の会社ですので好奇心と知識欲が豊富でやる気のあるメンバーが集まっています。23人中、12、3人は技術屋ですから。
(コーディネーター)
胃カメラの洗浄器の開発がきっかけで、チューブポンプを製造されることになったわけですが、チューブポンプはいまどんなところで活躍しているのでしょう。
(アクアテック 玉川)
チューブポンプそのものは洗濯機、洗車機、清涼飲料水の自動販売機やカップコーヒーの販売機などに組み込まれ、水や洗剤などの原液を一定の容量で確実に出す装置として利用されています。数年前からインクジェットプリンターやデジタル印刷機にも使われはじめています。
医療機器分野でよく知られているのは人工透析器です。特殊な例では一昨年、NASAが宇宙での実験の一環で、液晶の風船を膨らませるために、当社の超小型のチューブポンプを利用されたりと用途は広がってきています。
(コーディネーター)
今後も多様な展開が期待できるチューブポンプの市場ですが、アクアテック様が伸ばして行きたいと考えられているのはどの分野になりますか。
(アクアテック 玉川)
私どもとしては、医療分野での小型のチューブポンプの開発に力を入れています。当社独自技術のチューブポンプは、大きなリングの中を偏芯したローターが回るというとても単純な構造でできています。(“リングポンプ”で商標を登録)単純だからこそ小型化がしやすく、世界の流れはすでにそちらの方向で動き始めています。まだまだ試作の段階ですが弊社では現在、大学と共同で小型の人工透析用ポンプの開発を行っています。
またインシュリン注射を自ら打たないといけない糖尿病患者さん向けに、ポンプがインシュリンを自動に投入してくれるという超小型のものも開発しています。
中でも弊社が一番注目しているのは、細胞の培養分野です。これも現在、某大学と細胞培養に必要な溶液の微少流量コントロールを共同で研究しています。 これもまだまだ試行錯誤が必要かとは思いますがこの分野で世界一を目指すため、今回のおおさか地域創造ファンド重点プロジェクト事業(デザインプロデュース型商品開発促進事業)ではマイクロチューブポンプを中心にして展開していきたいと考えています。
(取材日:2011.8.22)
(次回につづく)
・Technics(テクニクス)というブランドを立ち上げ、育て、世界に羽ばたかせてきた成功経験を、社長とプロデューサーが共有しています。
・圧倒的な製造技術の強みを支えているのは、「好奇心」と「知識欲」と「やる気」です。
・強みの技術をどの分野に活かしていくかの構想が、融通無碍ですね。
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