残念サンには、お兄ちゃんがいたんですね〜。アラーキーみたいな髪型です。
そのお兄ちゃんは、いわゆる“産地”でものづくりをしているようです。
日本では“産地”と呼ばれる、同一業種の製品をつくっている産業集積が全国各地にあります。繊維・木工・家具・陶磁器・雑貨など、地場産業の軽工業にルーツを持つものが多いですが、高度成長期やバブル期には活況を呈し、立派な工場設備を備えているところもあります。近年は輸出が縮小し、また海外からの安価な輸入品に押されて苦戦しているところが多いというのが現状です。
こうした産地では、これまで培ってきた技術や既存設備を活かした新製品開発などにより、ものづくりの高度化を図ることが、喫緊の課題となっています。しかしながら、企業規模が零細で、かつ問屋やメーカーの下請けで長年ものづくりをしてきたため、独自の製品・デザイン開発力、消費者ニーズ等の市場動向についての情報収集力が弱く、自力で高度化を達成できないという課題を抱えています。
マンガの中でデザイナーは、残念兄弟が「ただのゴミだョ」と一蹴している副産物にオリジナルプロダクトの可能性を強く感じています。デザイナーと一緒に産地に行くと、こういうことが実際よく起こります。この「ゴミ」が本当に素晴らしい商品に化けるかどうかはデザイナー・プロデューサーの腕次第でしょうが、ここで知っていただきたいことは、固定観念が強すぎると、貴重な開発の芽を摘んでしまうことがあるということです。
市場に受け入れられる商品というものは、必ずしも「これは素晴らしい!」「これならイケる!」という現れ方をするわけではなく、「え、そんなのが商品?」「そんなの売れるはずない!」という場合もあります。
都心から離れた場所に長年身を置いてものづくりをしていると、マーケットで今、何が求められているかに鈍感になってきます。男性ばかりでものづくりをしていると、なおのことそうなります。先入観を捨てて、マーケットが何を求めているかに常にアンテナを立て、新たなニーズの萌芽に注目しておくことが、商品開発には必要なのです。
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