残念サンの会社に発足した商品企画部での、初の企画会議。ターゲットを絞り込んでいくはずが、いつの間にか“全宇宙”がターゲットになってしまっています。
こういう話は、雑談や飲み屋の盛り上がりではありがちですが、普通の会議ではどこかで現実に引き戻されます。そうならないのが残念サンの残念サンたるゆえんといえます。
では、彼らの議論は、どこが本質を欠いているのでしょう?
企画を立てるにあたって必要なのは、6W2Hのコントロールです。
6W2Hとは、Who(企画主体)、What(事業内容)、When(実施時期)、Where(実施場所)、Why(企画意図)、To whom(ターゲット)、How(実現方法)、How much(予算)を指しますが、この8つの要素の中でカナメになるのは、WhyとTo whomです。
あるターゲットを想定し、彼らが欲しいと思うもの、またはそれがないために不便や不満を感じているものを企画・提供できれば、その商品はマーケットに受け入れられる可能性があります。
今回の残念サンの会議では、To whom(=ターゲット想定)から始めるという方法を取っていますが、Why(=商品の存在意義)に話が至らないために、滑稽な4コママンガ的展開になってしまっているわけです。また最後のコマの「で、うちの金型で何つくりまひょ?」は、自社の持っているHow(具現化における強み)が、商品開発にまったく結びついていない残念さを示しています。
ちなみに世の中で頻繁に起こる間違いは、最初にHow muchを立てるパターンです。予算や助成金があるから何かをやるという道筋からは、誰にもいらないものが生み出されてしまうことが多い、ということは、みなさん経験上よくご承知なのでは・・・
ところで、ニーズに根ざしているように見える企画会議にも、落とし穴はあります。
たとえば、マーケティングリサーチ結果や、トレンド雑誌の記事などをもとに議論を進め、「こういう人たちは、こんなのを求めているんでしょ?」と、ターゲットの体温を感じることなく企画の話をしてしまっている場合には注意が必要です。
消費者は「ほしいものがほしい」人たちです。「自分だったら絶対買う!」くらいの物差しを持ってかからないと、誰にも顧みられない商品を生み出してしまう危険性があるのです。
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